外に出て見上げればもうそれがバードウォッチング
2011年 10月 28日
新しい双眼鏡を買ったので、首からぶら下げてゆきました。
家を出て顔をちょっと上げると、鳥が飛んできて電線に止まる。
早速覗いてみると・・・百舌鳥(モズ)です。
きっと、モズなんて小さいころから今まで、何羽も目の前を通り過ぎたのでしょう。
意識しなければただの鳥だけど、意識してみるとそれはスズメではない、“なんかの鳥”でもない「百舌鳥」なのね。
百舌鳥は肉食です。
スズメより少し大きいだけなのに、虫やトカゲ類に留まらず、小鳥を採って食べます。
それを枝や鉄線に突き刺して串刺しにしてあるのが「モズのはやにえ」。
私はこの年になるまで知らなかった~、そんな習性。
百舌鳥の話はこれくらいにして、家のベランダの前を流れる川を10分~15分ほど歩くと多摩川と合流します。

ここは猛禽類が見られることで人気。
この日も20人くらいのバーダーがいました。
いつものおじさんもいた。
おじさんに「今日は何が見えますか。」と訊くと、「今朝はオオタカが来たよ~。」と写真を見せてくれました。
初心者の私におじさんは、たくさんのことを教えてくれます。
図鑑でしか見たことのないカイツブリ(正確には見たことあったと思うけど意識していなかったからそれをカイツブリと認識していなかっただけ)が目の前に来たら「あれがカイツブリだよ~。」っと。
カイツブリは小さい。大人でも小さい。
最近生まれた雛がけっこう一人前の大きさになってきたそうだけど、そのうちの一羽が先程のオオタカに捕まったのだそうです。
けれども実際は、餌が取れずに死んでいくオオタカだってたくさんいるのだよ、と。
それに、荒川などではライギョ?とか大きな魚を捕まえたタカが魚が持ち上がらなくて沈んで溺死するんだとか。
「放せばいいのに。」と私は笑いましたが、タカの爪は鋭くて一度入ると自分では放すことはできないんだそうです。
タカだって命懸けで狩りをするのですね。
そうこうしているうちに、他の4人のおじさんが「ノスリが来た!あれはノスリだよな~!そうだ!ノスリだ~!」と大興奮!大はしゃぎを始めました。
ノスリもタカのような猛禽類。
でも何やらなかなか簡単には姿を現してくれないようなのです。
ノスリはこちらに来ると見せかけて随分手前の鉄塔に止まってしまいました。
おじさんたちが一同に溜息をつく姿はとてもおもしろかった。
野鳥は決して思い通りには動いてくれない。
姿を見せてくれない。1日待っていたって出てこないこともある。
でも会えたときのその喜びはひとしお!
しばらくするとカラスに追われてノスリが近くまでやってきました。
私も双眼鏡でしっかり観察することができました。
カラスに突っつかれながら2羽のノスリ。
かっこいい形だなぁ~。
おじさんたちが「アオみたいに鳴いて居場所を教えてくれりゃぁいいのに!」
アオというのは「アオサギ」のことで、最大のサギでただでさえ目立つんだけどこのアオサギという鳥は飛ぶときに必ず「グワングワン」って鳴くの。
鳴かないと飛べないのか、飛ばないと鳴けないのか、分からないけど飛ぶことと鳴くことがセット。
そうか~。そう思うよねぇ~。
おじさんたちが言ってたけど、はやぶさなんて本当に“無音”で飛ぶんだって。
そのスピードはチーターにも匹敵する速さで、いつ来るか分からない上に無音なもんで、写真に納めるなんて本当に憧れのようです。
難しければ難しいほどハマる。
気持ち分かるなぁ~。
「おっ!あれもノスリか!なぁ~~んだ、トビか。」
トビは人気がないようですね(笑)。
トビは死んだ動物も食べるけど、タカやノスリやはやぶさは“生きた動物”しか食べない。
だからその瞬間に出会えるのも尚更レアなのねぇ~。
その後またオオタカが来たとおじさんたちがはしゃいでいたけれど、1500メートル以上先なもんで私の双眼鏡では見えず。
おじさんに直接教えてもらうことも、おじさん同士の会話からも、どんどん鳥の情報を学べます。
おじさん曰く、高尾山のサンコウチョウ(夏鳥)は、もう2週間程前に南の島へ飛び立ったらしいんだけど、どうやら途中で私がいつも散歩する森(都立桜ヶ丘公園)に寄ったんだとか。
そういえば、2週間ほどまえ「ホイホイホイ♪」って声を聴いたことをツイートしたけど、そのときはガビチョウがモノマネしてるもんだと思っていたけどもしかしたら本当にサンコウチョウだったかもしれませんね。
この日見た鳥は、ヒヨドリ、百舌鳥、ムクドリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、アオサギ、カワセミ、カワウ、カイツブリ、ノスリ。
今まで気付かなかった。
都会の中にもこんなにたくさん鳥が生活していることを。
バードウォッチングと言ってもたいそうなことではない。
外に出て、少し顔を上げればもう、鳥が飛んでいる。
「あれ?あれはなんていう鳥だろう?」と思ったら、もうそれがバードウォッチングの始まりなのさ。
▲ by kusanohiromi | 2011-10-28 23:33