体の中で人間が出来る「妊娠」という奇跡
2013年 03月 08日
当たり前に暮らしているけれど、「生まれる」ということは実は当たり前のことではない。
妊娠を通して、自らなんとも不思議でドラマチックで奇跡的な体験をすることができた。
子どもが大好きで、保育科出身で「幼稚園教諭」と「保育士」の資格も持っている。
でも自分が子どもを生むことは「いつか」のことでしかなかった。
「いつかっていつ?」「今でしょ!」(ドヤ顔)
・・・っとふざけている場合ではない(笑)。
男性の精子は毎日作られるけど、女性の卵子は母親の胎内にいるときに一生分作られるので、どんなに見た目年齢を若く取り繕っても、卵子は実年齢なのだ。
女性の人生設計は難しい。仕事・・・音楽・・・まだ何も成し遂げていない・・・という思いが拭えなかった。
妊娠検査薬が陽性だったとき、正直に言うと「ヤッター!バンザーイ!」という嬉しさだけではなかった。
戸惑い、不安。だけどやっぱりニヤついてもう一度陽性反応のラインを見て幸せな気分になったり。
う~ん、複雑。
ちょうどイタリア旅行の計画とバッティングしてしまっていたこともあり、「タイミングを失敗した!」とも思った。
私が「失敗」という言葉で表現したそのことで親友に大軽蔑され、泣きじゃくったこともあった。
私は模範的妊婦にはなれなかった。
「おめでとうございます。5週目です。」
産婦人科の先生のその言葉で色々吹っ切れた。ああそうか。お母さんになるのか。
モニターの画像には、赤ちゃんを包む袋「胎嚢」が映し出されていた。
とにかくビールが大好きで毎日ガブ飲みしていた私が、お酒を絶った。
酒を飲まずに真っ直ぐ家に帰る日々。
何ということ!!!
コーヒー、紅茶、お茶、コーラ、ウーロン茶、ココア・・・あらゆるものにカフェインが入っていることを知った。
8週目の検診で心臓がまっ先に出来て動いているのを見た感動は忘れない。
そしてつわり。
私は軽い方だったと思うが、コンビニの食材を全く受け付けなくなったし、我が家のニオイがダメになった。
仕事から帰宅して玄関のドアを開けたとたん「おえぇぇ。」っといつも涙目(笑)。
そしてイタリア旅行へ。
1週間、ほぼ食べられなかった。ジェラートとホテルの朝食くらい。
よく行ったしよく歩いたと思う。安定期にも入っていないのに、一日2万歩以上歩いた。
やりすぎました、はい。
そして帰りに成田で初めて吐いた。あれはしんどかった!!!
イタリアから帰ってきてからの妊婦検診。
もしかして流産していたらどうしよう・・・。実は内心ものすごく不安だった。
でも赤ちゃんは元気で、なんと頭と胴体に手足が出来ていた!!!
心臓もトクトク動いている・・・。すごい・・・。妊娠12週のことである。
赤ちゃんは「胎児」になった。
妊娠16週(5ヵ月)に入ってようやく安定期に入る。
ここに来るまでが赤ちゃんにとって最も大事な時期。
体の各器官が出来る時期。
そして男の子と判明。
この頃はもうエコーで全部が映らないので部分部分、先生が丁寧に確認してくれる。
脳、背骨、心臓、肝臓、膀胱・・・。4D映像がコレ。
18週の様子。顔も出来てきたしへその緒もしっかりしてきた。
12月末にはお顔も確認できた。ムスっとした顔して寝てる(笑)。
東京最後の検診。
先生が真っ直ぐ目を見て「元気な赤ちゃん生むんだよ!」っと言ってくれたとき、また涙が出てしまった。
赤枝医院の相良先生。
私は世界一尊敬している。
7月に妊娠が分かってから9ヶ月。
最初は袋だったのが、今や2800gを越えた人間になっている。
私が意識しなくても、心臓が出来、脳が出来、手足が出来、内蔵が出来、骨が作られ・・・。
赤ちゃんは羊水を飲んでそれを腎臓でろ過し、おしっこをし、自分で羊水のお掃除をしている。
そんな赤ちゃんの凄技にも驚かされた。
赤ちゃんの成長を確認したくて次の検診が待ち遠しかった!
2週間や1ヶ月が流れるのがこんなに長く感じるものとは!
私の体もすっかり変化した。最終出勤日にはこんなお腹。
赤ちゃん、ほんとよく付き合ってくれたなぁ~。
体内で人間を作っている妊婦ってやっぱり特別だ。
その特別な時間もあとちょっと。
人類はみな、女性から生まれる。
女性の体の神秘を、今更ながら改めて感じた。これはもう宇宙とつながっている。
さあ、あとちょっと。
世界が待ってるよ。
出ておいで。
by kusanohiromi | 2013-03-08 23:49 | 家族