一番大切なものがなくなったとき
2012年 11月 27日
それは、一番大切な人「旦那」と死別する恐怖だ。
結婚して6年、毎日一緒にいるけど毎日毎日飽きない。
愛は成長している。一日一日がとっても幸せ。
自分の中に新しい命が宿って、ますます旦那との時間が大切で愛おしく思う。
幸せであればあるほど、それがなくなってしまうことが一番の恐怖なのだ。
普通はあまり「死」などを意識せず生きていくものだと思うけど、私は友達や恩師や親戚を亡くした経験からか「死」を意識して生きている。
なんで突然そんな話をするかと言うと、今報道ステーションを見ていた中で。
震災の津波でで奥さんと3人の子どもと祖母を亡くした方の特集がやっていた。
一番愛する存在を、一気に5人も失ってしまった阿部さん。
ひとりぼっちになってしまった阿部さん。
わずか34歳という若さで、仕事(田畑)も愛する妻も子どもも一瞬にして津波に奪われた。
何度も死のうと思ったらしい。
毎日「明日死のう。」と思ったらしい。
閉じこもってしまったらしい。
そりゃそうだろう。
ところがある日、奥さんが夢に出てきたのだそうだ。
奥さんは何も言わなかったけどすごい形相でとにかく怒っていたのだそう。
まるで「まだこっちに来るな。」と言っているかのように。
阿部さんは、前を向き始めた。
失った愛する人は取り戻せないけど、自分に出来ることを考えた。
「仕事だけは取り戻そう。仕事なら自分にも取り戻せる。」
それで、「イグナルファーム」という農場を立ち上げた。
そこで働く仲間もみんな30代。
阿部社長の熱意、家族を失って底なしの悲しみの中にいるのにちゃんと立っている、そんな彼にみんな引き寄せられて集まったのだ。
彼らは言う。
「ただ社長の笑顔が見たい。」「家族の代わりにはなれないけど、他の形で支えになれたら。」
こんなにも純粋に「人の笑顔が見たい。」と思える人たちが、この地球上で生きているということは未来はなんと明るいことか。
そう思った。
毎日悲しいニュース、殺伐としたニュース。
日本人は心をどこかに忘れてしまったのだろうか、温かい心を持った人は減ってしまったのだろうか?と不安を煽られるニュースの数々。
でも違うんだ。
人は人を思える温かい心を持っている。
そういう人は必ずいて、頑張っている。
本気で人を助けたいとか、ただ笑顔が見たいとか、そういう思いで自分の力を発揮できる人たちが毎日を暮らしている。
どれだけ嫌なニュースが繰り返されても、「悪い人ばかり」と思ってはいけないのだ。
周りがどんなになろうとも、自分は自分の心が正しいと思うことだけを行えばいいのだ。
それだけは絶対に間違いない。
ずっと変わらない。
阿部聡社長、これからも繰り返しやってくる悲しみを乗り越えなければならないだろう。
それでも人は、仕事があればいきていけるのだな、と改めて「仕事」が人を自立させてくれるものだと思った。
光市の母子殺害事件被害者の本村さんも言っていた。「仕事があったから人生から転がり落ちずにすんだ」と。
私が怯えている恐怖の何倍もの悲しみを実際に抱えてしまった阿部さんが、一生懸命仕事をして頑張っている。
それだけで私は、いたく心を打たれた。
きっと被災者の方々の多くは、今そうやって頑張っているのだ。
忘れないでいよう。
だから毎日を大切に生きるのだ。
家族を大切に生きるのだ。
by kusanohiromi | 2012-11-27 23:40 | 家族